SOGO SEIBU TransCulture

A99 個展 谷口 洸 Blue in Green 谷口 洸 2024年8月14日(水)~9月8日(日)

今まで僕はほんの少しだけ風光明媚な水辺に住んできた。中高時代は愛知県蒲郡市の海辺の寮で過ごした。この町は「愛知の小鎌倉」と呼ばれることもある、リゾート施設が点在する観光都市である。目の前に広がる三河湾は波が穏やかで、週末の晴れた日にはヨットが行き交う様が時折見られる。多くの地方都市と同じように人口が減り、ゆっくりと錆びれていっているものの、蒲郡は暖かく居心地の良い場所だ。
今僕は「北の鎌倉」とも知られた千葉県我孫子市の手賀沼の辺に住んでいる。手賀沼周辺は大正から昭和初期に別荘地として栄えた。多くの文化人から愛され、志賀直哉が「城の崎にて」を執筆したのもこの地である。当の手賀沼は今では全国五本の指に入る水質の悪い沼となってしまったが、それでも水鳥の飛び交う静かな湖畔の町である。
やはり僕の住む町は、ちょっとだけ良い町のようだ。ただし彼らはどんなに頑張っても鎌倉には勝てないのだろう。これらの町は物悲しさの中に、可愛らしさがあるように感じる。まるで自分のこれまでの人生のようだとも。
そして僕は水辺が好きなのだ。絶え間なく寄せては返す静かで細かい波と、水面に映る空や雲が、制作の動機でありモチーフだ。淋しく、愛おしい水辺の町を歩くような感覚で作品を観ていただけたらと思います。【24年8月記】

Cloud in the Sea #13

Cloud in the Sea #5

Cloud in the Lake #3

Lake Waves #1

Cloud in the Sea #14

Taupo in the Rain #2

Lake Waves #2

PROFILE

谷口 洸

Taniguchi Akira

AKIRA TANIGUCHI
1993年神奈川県横浜市生まれ。愛知県出身。
現在谷口は手賀沼という小さな湖のほとりに住んでいる。そこは風や波、それらに反射する光が美しい場所である。
水、空、光。これらが彼の作品のキーワードになっている。風が遠く離れた場所から吹いてきて、水面に波を起こし、そこへ太陽の光が差し込む。そういった自然のサイクルを自身の制作に取り込むことを目標にしている。
2015年シドニー芸術大学にて「Art-scene・学部長賞」受賞。2020年「アートアワードトーキョー丸の内」にて「ブルームーン賞」受賞。
【略歴】
1993年 神奈川県生まれ。愛知県出身。
東京芸術大学大学院美術研究科絵画科絵画専攻
【主な展覧会歴】
2019年「グッバイ・ララバイ」東京芸術大学(東京)
    「Land Politics」 Valetta Contemporary(マルタ共和国)
2020年「丸の内アートアワード2020」東京駅(東京)
2021年「ストレンジャーによろしく」金沢アートグミほか(石川)
    「SHIBUYA STYLE vol.15」西武渋谷店[’22,’23]
2022年 個展「To the Sea ABC」西武渋谷店
    「エピソードone 次世代アーティスト16人展Vol.1」阪急うめだ本店(大阪)
    「ときめき絵画道」HB.Nezu(東京)
    「阪急ナインカラーズ」阪急うめだ本店(大阪)

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A99 個展 谷口 洸 Blue in Greenと記入してください

西武渋谷店のオルタナティブスペースと美術画廊を拠点に
クリエーティブな刺激を与える現代アートの企画展示、
時代精神あふれるアーティストを発掘。