G20 そごう横浜店 ホテルニューグランド バー シーガーディアンⅢ 10階 ダイニングパーク横浜 伝説のバー「シーガーディアン」3世は海を見渡す
バー シーガーディアンⅢはダイニングパーク横浜の最も奥のゾーン。大きな植栽のある回廊に面した石造りの壁面が目印です。ダイニングパーク横浜が誕生した2005(平成17)年に開店しました。当時ホテルニューグランドでは「本物のバーを多くの人に紹介したい」との考えがあり、一方でそごう横浜店では飲食フロア改装の中で、「横浜でトップクラスのバーに出店してもらい、ほかの百貨店にはない場所にしたい」と考えていました。そんな両者の思いが一致し、横浜にしかない「本物のバーがある百貨店」が誕生しました。
まるで帆船の船首にあるような女性像のレリーフに囲まれた重い木のドアの向こうには、別世界が広がっています。
ホテルニューグランドは1927(昭和2)年の開業。1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災で横浜市は壊滅的な打撃を受けており、ホテルニューグランドの開業は、横浜の復興を象徴する出来ごとのひとつで、関東大震災で消失したグランドホテルにちなんで「ホテルニューグランド」と名付けられました。ホテルニューグランドのシンボル、フェニックス(不死鳥)は、この時の横浜の復活をイメージしています。開業と同時にバーの「シーガーディアン」も開業。シーガーディアンは当初、海岸通りに面した場所、現在の「そごうショップ」の辺りにありホテルの入り口を通らず直接入店できました。シーガーディアンとは「海の守り神」の意味です。
当時横浜港に入港する客船の多くにはバーがあり、シーガーディアンはこの客船のバーをモデルに作られました。客船のバーの技術を多く引き継いだため、現在でもシーガーディアンには陸地の多くのバーとは異なる特徴がいくつも残っており、その形は現在のシーガーディアンⅢにも受け継がれています。初代シーガーディアンは1927(昭和2)年から1991(平成3)年まで続きましたが、1991(平成3)年、ホテルニューグランド本館の隣に新館(ニューグランドタワー)が建築されたのを契機に本館の各店舗もリニューアルされることになり、シーガーディアンは場所を海岸通り沿いから現在のホテルの奥に移動。店名も「シーガーディアンⅡ(ツー)」に改められました。
「バー」という言葉の語源は、「足元の棒(バー)に片足を載せて楽なスタイルをとれるカウンター」からできた言葉ですが、シーガーディアンのバーカウンターは客船内のバーカウンターと同じように船が揺れた際にグラスが飛び出さないように、カウンターの端には返しが付いていて、さらに船が揺れたときに掴めるように、ひじ掛け棒がカウンターの前に付いています。これは一つ上の写真の中で、初代シーガーディアンでくつろぐ大佛次郎氏の写真にも写っており、現在のシーガーディアンⅢにも見られる特徴です。
ホテルにあるシーガーディアンⅡ(ツー)がバータイムのみの営業であるのに対して、ここシーガーディアンⅢは午前11時〜午後5時までをティータイムとして、お茶や菓子を提供しています。コーヒーはシーガーディアンⅢのオリジナルブレンドで、菓子類はホテルニューグランドで手作りしたものを持ち込んでいます。中でも人気は本格的なアフタヌーンティーセット。ホテルニューグランドではロビーラウンジでのご提供ですが、ここそごう横浜店ではシーガーディアンⅢの中で、海を見ながら楽しむことができます。右側の写真でビアサーバーの前にあるのは初代シーガーディアンを懐かしむお客さまが作られた記念の絵皿です。
絶好のロケーションから年々変貌を遂げつつある横浜のシンボル、みなとみらい地区を一望にできる眺望は、シーガーディアンⅢの名物となっています。
夜になると雰囲気は一変します。かつてマッカーサー元帥やチャップリンや英国王族たちがくつろいだ伝説のシーガーディアンの物語を思わせる雰囲気が浮かんできます。終戦直後、ホテルニューグランドに滞在中のアメリカ進駐軍の将校たちからドライマティーニの注文が入ったもののドライマティーニに欠かせないドライベルモットが用意できなかったため、苦肉の策としてドライベルモットの代わりにシェリー酒を使ったドライマティーニを作ったときのメニューは現在でも「マティーニニューグランド」の名称で提供されています。これも歴史のひとコマです。
「鞍馬天狗」で知られる小説家・大佛次郎氏は、ホテルニューグランドを仕事部屋としていました。昼間はここで執筆を行い、夕方には1階に降りてきて、シーガーディアンでイタリアの食前酒「ピコン」を1杯飲み、中華街に繰り出していったとのことです。大佛次郎氏はピコンのソーダ割りに、ザクロのシロップを加えるのを好んでいたそうで、大佛氏と同じものを飲みたい場合は『大佛先生のスタイルのピコンソーダ』とオーダーすれば今でも提供できるようです。ほかに石原裕次郎氏や松田優作氏もよく来店していたとのことです。シーガーディアンⅢはこのような数多くの物語に彩られていながらも、百貨店レストラン街の中という誰でも行きやすい場所にあり、本物のバー文化のエッセンスを体験できます。
シーガーディアン名物カクテルの「ヨコハマ」はジン、ウォッカ、オレンジジュース、グレナデンシロップ(ザクロの果汁のシロップ)にペルノを一滴加え、氷と一緒にシェイクします。シーガーディアンではシェイカーを“ハード”に振る伝統により氷が砕けてカクテルの中に入り独特な食感です。オレンジジュースやグレナデンシロップが入った「ヨコハマ」は甘く飲みやすいカクテルです。そしてもうひとつの名物「バンブー」はドライシェリー、ドライベルモット、オレンジビターズを混ぜたカクテル。強いお酒がベースですが絶妙の配合で口当たりがよくなり、オレンジビターズで独特のコクが出て竹(バンブー)を割ったようなすっきりキレのある味です。どちらもシーガーディアンでは1927(昭和2年)開業時から提供しています。
キラキラと光る氷の粒が浮かぶカクテルの「ヨコハマ」は船上から見た港に沈む夕日のイメージだそうです。シーガーディアンでは、シェイカーの持ち方もその向きがほかのバーと違うといいます。これは昔はシェイカーの製造技術が低くてふたがきちんと閉まらず、振ると中身がもれてしまうことがあったため狭い客船内のバーでシェイカーの口を自分に向けて振ると、こぼれたカクテルがお客さまにかかってしまうため、あえてお客さまの方に口を向けて、こぼれたものはバーテンダーにかかるようにしていた名残りだそうです。
阿部 渉
Abe Wataru
若手のホープバーテンダーの阿部渉さんは入社三年目。バーという空間にあこがれを持ち、いつかはシーガーディアンのバーでシェーカーを振る日を夢見て、ホテルニューグランドに入社しました。入社後2年間、ホテルニューグランド内のコーヒーハウスザ・カフェにてウェーターを務め、接客修行。2020年より少数精鋭のバーテンダー職に抜擢され、シーガーディアンⅢのカウンターに立っています。バーの役目はくつろぎの時間と空間の提供。カクテルの味だけでなく、気配りや会話術、知識、所作の美しさなどの一つ一つが求められます。胸には伝統と格式を守るホテルバーマンの証、HBA(日本ホテルバーメンズ協会)のバッジが輝きます。ここシーガーディアンⅢは午後5時まではラウンジとして営業し、毎朝ホテルニューグランドからスイーツが直送されてくるため、アフタヌーンティーセットもバーテンダーが給仕します。ここではザ・カフェでの経験も活かされ、コミュニケーション力やサービスのタイミングなどにも気配りしています。もちろん午後5時時前でもカクテルはご提供しており、横浜では数少ない昼から営業しているバーでもあるため、昼飲みのお客さまや買い物の合間の女性のお一人さま、若い女性のお客さまも多く、間口の広さを感じているとのことです。もちろんディナータイムの食前酒、食後酒は本業であり、名店がひしめくダイニングパークでのディナーを予約されたお客さまが、ふらりと立ち寄られることも多いとのことです。
お手数ですが、お問い合わせ内容欄に必ず
「G20 そごう横浜店 ホテルニューグランド バー シーガーディアンⅢ」と記入してください
そごう横浜店の各売場に見られる
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